--- title: "RDAPとWHOISの違いとは|ドメイン登録情報を調べる新標準を解説" description: "RDAPとWHOISの違いを解説します。なぜWHOISからRDAPへの移行が進んでいるのか、RDAPで取得できる情報の見方、TLDごとの対応状況をまとめました。" date: 2026-06-10 category: DNS・ドメイン tags: [RDAP, WHOIS] related_tools: [rdap, whois] draft: false --- ドメインの登録者情報・有効期限・ネームサーバーを調べるツールとして長年使われてきた **WHOIS**。その後継として策定されたのが **RDAP(Registration Data Access Protocol)** です。現在は多くのTLDでRDAPへの移行が進んでいます。 ## WHOISとは **WHOIS** は1982年に策定された古いプロトコルです。ドメインのTCPポート43番に接続し、テキスト形式でドメインの登録情報を返します。 ``` Domain Name: EXAMPLE.COM Registry Expiry Date: 2027-08-13T04:00:00Z Registrar: Example Registrar, LLC Name Server: NS1.EXAMPLE.COM Name Server: NS2.EXAMPLE.COM ``` 長年にわたって使われてきましたが、いくつかの問題が指摘されていました。 ### WHOISの問題点 | 問題 | 内容 | |---|---| | 標準化されていない | レジストリ(管理機関)ごとに返す形式がバラバラで機械処理が難しい | | 暗号化なし | 通信が平文のため、問い合わせ内容が傍受される可能性がある | | 認証なし | 誰でも無制限にアクセスできるため、スパム目的の大量収集に使われた | | GDPR対応が難しい | EU一般データ保護規則(GDPR)施行後、個人情報を平文で公開することへの対応が困難に | ## RDAPとは **RDAP(Registration Data Access Protocol)** は、WHOISの後継として **IETF(Internet Engineering Task Force)** が策定した新しいプロトコルです。ICANNは `.com` や `.net` などの主要TLDについて、2019年からRDAPへの完全移行を完了させています。 ### RDAPの特徴 **JSON形式で返却**: 機械処理しやすい構造化データで情報が返ります。 ```json { "objectClassName": "domain", "ldhName": "example.com", "status": ["client delete prohibited", "client transfer prohibited"], "events": [ { "eventAction": "expiration", "eventDate": "2027-08-13T04:00:00Z" } ], "nameservers": [ { "ldhName": "ns1.example.com" }, { "ldhName": "ns2.example.com" } ] } ``` **HTTPS通信**: 問い合わせ内容が暗号化されます。 **認証・アクセス制御**: レジストリが必要に応じてアクセスを制限できるため、GDPR対応が容易です。 **標準化されたステータスコード**: `client transfer prohibited` `active` などのステータスが統一定義されています。 ## ドメインステータスの読み方 RDAPで返るステータスコードは複数同時に設定されていることがあります。 | ステータス | 意味 | |---|---| | `active` | 正常に登録されている | | `client transfer prohibited` | 移管(他社レジストラへの転出)が禁止されている | | `client delete prohibited` | 削除が禁止されている(通常は必ず付く) | | `client hold` | 一時停止中(支払い未完了など) | | `redemption period` | 有効期限切れ後の猶予期間(削除前の復元可能期間) | | `pending delete` | 削除処理中(復元不可) | 移管を予定している場合は `client transfer prohibited` が付いていないか事前に確認が必要です。 ## TLDごとの対応状況 | TLD | RDAP対応 | |---|---| | `.com` `.net` `.org` | ✅ 対応済み | | `.jp` | ✅ 対応済み(JPRS) | | `.io` `.app` `.dev` | ✅ 対応済み | | 一部の国別TLD(ccTLD) | ⚠️ 未対応の場合あり | ccTLD(国別ドメイン)の中にはRDAPに未対応でWHOISのみのものも残っています。その場合は自動的にWHOISにフォールバックして情報を取得することになります。 ## RDAPで空き状況を確認する RDAPはドメインが登録済みかどうかの確認にも使えます。 - 問い合わせ結果が返ってくる → **登録済み** - 404エラーが返る → **未登録(取得可能)** ただし、取得可能かどうかはレジストラの在庫状況にも依存します。RDAPで未登録と分かっても、プレミアムドメインとして高額になるケースや、予約済みのケースもあります。 ## WHOISとRDAPのどちらを使うべきか 現在主要なTLDではRDAPを使うのが標準です。WHOISは引き続き利用できますが、返ってくる情報がGDPR対応で省略されているケースが増えています(特に個人登録のドメインや .eu ドメインなど)。 より詳細な情報を取得したい場合や、機械的にデータを処理したい場合はRDAPが適しています。