ドメインの登録者情報・有効期限・ネームサーバーを調べるツールとして長年使われてきた WHOIS。その後継として策定されたのが RDAP(Registration Data Access Protocol) です。現在は多くのTLDでRDAPへの移行が進んでいます。
WHOISとは
WHOIS は1982年に策定された古いプロトコルです。ドメインのTCPポート43番に接続し、テキスト形式でドメインの登録情報を返します。
Domain Name: EXAMPLE.COM
Registry Expiry Date: 2027-08-13T04:00:00Z
Registrar: Example Registrar, LLC
Name Server: NS1.EXAMPLE.COM
Name Server: NS2.EXAMPLE.COM
長年にわたって使われてきましたが、いくつかの問題が指摘されていました。
WHOISの問題点
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 標準化されていない | レジストリ(管理機関)ごとに返す形式がバラバラで機械処理が難しい |
| 暗号化なし | 通信が平文のため、問い合わせ内容が傍受される可能性がある |
| 認証なし | 誰でも無制限にアクセスできるため、スパム目的の大量収集に使われた |
| GDPR対応が難しい | EU一般データ保護規則(GDPR)施行後、個人情報を平文で公開することへの対応が困難に |
RDAPとは
RDAP(Registration Data Access Protocol) は、WHOISの後継として IETF(Internet Engineering Task Force) が策定した新しいプロトコルです。ICANNは .com や .net などの主要TLDについて、2019年からRDAPへの完全移行を完了させています。
RDAPの特徴
JSON形式で返却: 機械処理しやすい構造化データで情報が返ります。
{
"objectClassName": "domain",
"ldhName": "example.com",
"status": ["client delete prohibited", "client transfer prohibited"],
"events": [
{ "eventAction": "expiration", "eventDate": "2027-08-13T04:00:00Z" }
],
"nameservers": [
{ "ldhName": "ns1.example.com" },
{ "ldhName": "ns2.example.com" }
]
}
HTTPS通信: 問い合わせ内容が暗号化されます。
認証・アクセス制御: レジストリが必要に応じてアクセスを制限できるため、GDPR対応が容易です。
標準化されたステータスコード: client transfer prohibited active などのステータスが統一定義されています。
ドメインステータスの読み方
RDAPで返るステータスコードは複数同時に設定されていることがあります。
| ステータス | 意味 |
|---|---|
active | 正常に登録されている |
client transfer prohibited | 移管(他社レジストラへの転出)が禁止されている |
client delete prohibited | 削除が禁止されている(通常は必ず付く) |
client hold | 一時停止中(支払い未完了など) |
redemption period | 有効期限切れ後の猶予期間(削除前の復元可能期間) |
pending delete | 削除処理中(復元不可) |
移管を予定している場合は client transfer prohibited が付いていないか事前に確認が必要です。
TLDごとの対応状況
| TLD | RDAP対応 |
|---|---|
.com .net .org | ✅ 対応済み |
.jp | ✅ 対応済み(JPRS) |
.io .app .dev | ✅ 対応済み |
| 一部の国別TLD(ccTLD) | ⚠️ 未対応の場合あり |
ccTLD(国別ドメイン)の中にはRDAPに未対応でWHOISのみのものも残っています。その場合は自動的にWHOISにフォールバックして情報を取得することになります。
RDAPで空き状況を確認する
RDAPはドメインが登録済みかどうかの確認にも使えます。
- 問い合わせ結果が返ってくる → 登録済み
- 404エラーが返る → 未登録(取得可能)
ただし、取得可能かどうかはレジストラの在庫状況にも依存します。RDAPで未登録と分かっても、プレミアムドメインとして高額になるケースや、予約済みのケースもあります。
WHOISとRDAPのどちらを使うべきか
現在主要なTLDではRDAPを使うのが標準です。WHOISは引き続き利用できますが、返ってくる情報がGDPR対応で省略されているケースが増えています(特に個人登録のドメインや .eu ドメインなど)。
より詳細な情報を取得したい場合や、機械的にデータを処理したい場合はRDAPが適しています。